1月14日付日経産業新聞5面の「次世代DVD 進まぬ規格統一」を読んでいて.
ベータV.S.VHS再び なんて言われているこの話題だけれど、
互いの特徴を見れば見るほど、そして昔のベータVHSの歴史を再考すればするほど、
面白い.
とりあえず、私の結論は
「HD-DVDは一か八か規格、Blu-rayは飛び級一過性規格」ってところかな.
あくまでも「一過性の流行」程度ねってことに 念を押しての話し.
1.何の拡張にプライオリティを置いているか
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そもそも、新しいメディア技術なんてもの出てきた時点で、
また更にそれを追い抜く技術が出てくるのは目に見えてるわけですよ.
(実際ホログラム光ディスクってのが製品化されることは報道されていて、
その第2世代では普通に1テラ級の容量らしいし.)
いくら拡張性を保たせたとしてもね、進化は無限に近いわけで.
そもそも私、技術力によるボトルネックって それほど重要なものと思っちゃいないから.
要は それをも超えるヴィジョンを持ち合わせてる企画かどうかのほうが重要だと.
まぁこの話は置いといて、だ.
そもそも、この新聞記事では
Blu-rayは メディア自体への拡張性(将来的に200GBまで拡張)を重んじ、
HD-DVDは Writer側が既存の設備で対応可能なコスト面に着目
しているように書いてある.
双方の規格説明を読んでみたが、
確かに後者(HD-DVD)の特徴としては正しいのだろうけど、
Blu-rayはどうやら違うっぽいな.
Blu-rayの売りは
・エラーを防ぐことができる
・DRMに対応できる(3レイヤーかっこいいな)
・(大容量<記録層の積み重ねにより将来的に200GBまで拡張可能)
なところが大きそう.
こう言われると、大手がBlu-rayに参画する理由はよく解る.
コンテンツのほうに 色を出せるポテンシャル高いもんなぁ.
いや、普通に「容量大きいよー」、「将来も拡張できるよー」では
全く説得力ないだろ.(この記事、誤解呼ぶってー)
前述のように、技術は革新されるものであるのだから、
“将来的”に200GBになろうが、今200GBじゃないなら
その“将来”の時点で200GBなんて簡単に超えるメディアなんて
あってもおかしくないわけで.
と、考えれば考えるほど
「現状の設備に固執」するのも どうかな と思えるわけで.
結局 新規設備投資コストよりも 上回るメリットを出せる新しい技術が出てくれば、
さすがに過去の遺産に囚われててもしょうがなくなるわけで.
(まぁそういうわけで、今はBlu-rayに“そこまで”新規投資する魅力が無いのかもね.
技術屋側・メーカーから見たら、確かに面白い技術だから 推すのも解かるけど.)
ただーし!最近の事情として
メディアにWriteするのが生産側でなく、顧客に重きを置かなくてはいけないって意味では
さすがに普及させるのが難しいのよね.新規設備.
この壁をどう乗り越えるか.
2.先導して魅力的ストーリーを付加できるか
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じゃぁ、次.
VHSの勝因 から考えてみる.
・採用メーカを増やした
これは、Blu-rayもHD-DVDもがんばっているね.
・記録時間を最初から実用的な2時間に設定し、その後も長時間化に成功したこと
これ、結構大事だよねー.「すげーんだぞ!よりでかいんだぞ!」は 意味が無いってことで.
基準として定めたものに合わせて コンテンツのほうが拡大を繰り広げるってのは
全く有り得るわけ.(まぁ、いつもの先導者論ですけど)
どちらのメディアが より面白い「ストーリー」を付けて、顧客に出せるか ですなぁ.
その点では、Blu-rayのほうが有利なんだろうけどね.
3レイヤーでの仕様的コンテンツに対する「遊び」は 理系人間としては(・∀・)キュンキュンするし.
3.メディア自体の価格と普及の問題
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も一つ大事なこと.
メディア自体の価格をどこまで下げられるのか、手に入りやすいものにできるのか.
ってことだな.
そもそも、Blu-rayの仕様を見てて一番マズイな と感じるのは
「カートリッジ」入りのメディアであること.
いやー、実は私 往年のMOディスクファンだったんですよ.
珍しく MOドライブを持ってたし、使い回してました.
でもねー、やっぱ普及してないんですよ.官庁くらいしか.
お陰で、友人とデータやり取りするのに互換無くて、
渋々 CD-RWとDVD-RWに移行したってワケ.
ただ技術的な点で MOディスクは(・∀・)キュンキュンしてまして、
信頼置いていたので なかなか手放せなかったんですけどね.
でも負けますよ、やっぱり.
だって CD-R安すぎますもんね.
やっぱメディアってのは究極的に「紙」のレベルまで 価格と普及が
近づくことを目指さないと残っていかないと思うんですよね.
てことで、そういう意味では そのくらいの新しいメディアが現れない限り
CD-Rは今後も残るでしょうな.
DVD-Rはどうかな?まだちょっと高いよね.でも そろそろ価格もいい感じか.
そう考えると、HD-DVDのメディアの値段と手に入りやすさによっては
残る可能性はあるでしょうなぁ.
その点、Blu-rayは価格下げるの難しいだろうなぁ、と思うわけですよ.
あ、MDの例があるから あのレベルまでいけばいいんだろうけど、
今の時代では、競合が多すぎて難しいだろうなぁ.
※.補足として、Exit問題
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これは 別の機会にまた書きますけど
結局、技術革新はどんどん行われ、規格はどんどん新しいものが出てくるとすると
その都度の移行をどうスムーズにできるか、が結構重要になるわけです.
特に 同社内で移行させる時とかは お互いが足を引っ張らないようにしないと
ロスばかりが大きくなって、新規参入者に簡単に負けてしまうことも有り得るので.
ソニーが カセットテープウォークマン・MDウォークマン(・CDウォークマン)で勝ち続けていたのに
HDD・フラッシュメモリーウォークマンで先を越されてしまったのは 意味があるのだ、と.
上手いExitの仕方 って、かなり面白いテーマですよ.
これ、議論できる人求ム<2月以降 食事でもして話しようぜー.
さて、私の結論をもう一度.
「HD-DVDは一か八か規格、Blu-rayは飛び級一過性規格」
まぁ、HD-DVDは、一か八かって言うと、 “存続無理”であるだろうけど.
うまくいけば、廉価記憶媒体として残るかもねー.
Blu-rayは面白いし、時代の進化の階段を一段(HD-DVD分)飛ばした感じではあるけど
(根本的に、HD-DVDとは発想の時点で随分頭を使った差があるからね)
一過性の流行でしか成り立たない可能性は高いなぁ.
(メディアが高いとMOと同じ道を辿るだろうね)
基本、技術屋の魂を持った私としては、Blu-rayに(・∀・)キュンキュンです.
まぁ 売れるかどうか・影響がどうか ってのと別問題.
投稿者 Rie KAWANO : 02:36 AM
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